RubyWorld Conference 2018 開催趣意書

2009年から連続して開催されてきた、このRubyWorld Confenrenceも今回でとうとう10回目となります。ひとつの歴史を築いた印象があります。開催10回を記念する特別なカンファレンスを楽しんでいただければと思います。

Rubyが誕生する以前、1980年代には「ソフトウェア工場」という言葉がしばしば用いられていました。ソフトウェアの商品としての価値が向上するにしたがって、より効率的にソフトウェアを開発するために工場製品のメタファーを用いるのが適切だと考えられたからです。しかし、それから30年経った現在から振り返ると、その考え方は決して成功したとは言えないと思います。ソフトウェアは一見すると工業製品に見えますが、その開発は意外と属人性が高く、アートとしての側面が無視できなかったということなのではないでしょうか。もちろん、ソフトウェアだけが特別というわけではなく、アートとビジネスの融合が行われている分野はそこかしこに存在しています。たとえばインダストリアルデザインなどはその最たるものでしょう。

Rubyはその登場直後から開発者の気持ちや心の部分を重視してきました。ホームページに紹介されている「Programmers’ Best Friend」というフレーズひとつとっても、ソフトウェア開発者の気持ちに寄り添う態度が現れています。ソフトウェア開発の生産性を高めるためには、プログラマーの気分が無視できない要因になることを、当初から念頭に置いていたのです。そのような「人間を無視しない」態度がRubyが愛されてきた理由のひとつであろうと推測します。

「人間的要素を大切にする」、「楽しく開発する」、「ソフトウェア開発の生産性を最大化させる」、「ビジネスを成功させる」。一見、無関係に感じられるこれらのゴールが実は密接に関連していることを示してきたのが、Ruby25年の、そしてRubyWorld Confenrence10年の歴史であろうと思います。「ソフトウェア開発者を大切にして成功する」というポリシーの普及こそ、我々が望む未来だからです。

RubyWorld Conference 開催実行委員会
委員長 まつもと ゆきひろ

過去の開催趣意書